進学すべきは修学館中か志學館中か!?鶴丸高校と比較した最終提案。
鹿児島県の中学入試で進学先の有力候補として比較される「修学館中学」と「志學館中等部」。
名前は似ているけれど…、この2校は全く特色の異なった学校です。
そもそも鹿児島県中学入試は特殊です。全国名門校のラサール中学が入試難易度においても合格実績においても別格の存在となっています。一方で、次席のポジションははっきりしません。候補となる中学校は、公立で「鹿大附属中」「玉龍中」「楠集中」、私立では「志學館中等部」「修学館中」「純心中」「池田中」「育英館中」など複数ありあます。偏差値上、ラサールに次いで高いのは「鹿大附属中」「玉龍中」ですが、この2校に関しては別記事で扱います。今回は人気の2校、「修学館中」と「志學館中」を比較し、どちらに進学すべきか、最終提案をお届けいたします。
目次
1、修学館中と志學館中の基本データを比較
修学館中と志學館中、この2校はそもそも読み方から似ています。
「修学館」=「しゅうがくかん」、「志學館」=「しがくかん」と呼びます。私が学生の頃は姉妹校か何かかと思っていましたが全く関係ありませんでした。余談でした。。。
修学館中と志學館中の比較
|
修学館中 |
志學館中 |
読み方 |
しゅうがくかんちゅう |
しがくかんちゅう |
偏差値(日能研R4) |
42(特待Aは60、特待Bは53) |
42(特待一種は55、特待二種は50) |
設立区分 |
私立 |
私立 |
男女区分 |
共学 |
共学 |
学校区分 |
中高一貫 |
中高一貫 |
立地 |
鹿児島市永吉2丁目9-1 |
鹿児島市南郡元町32-1 |
とても似ています。。。ですが、似ているのはここまで。
|
修学館中 |
志學館中 |
外部高校受験 |
寛容 |
厳しい(退学、転校が必要) |
定員 |
前期70名、後期10名 |
前期のみ120名 |
難関大学合格実績 |
国公立大5名、関東難関私大1名 |
医学部医学科10名、国公立大32名、関東難関私大16名 |
(全て2018年度のもの)
この2校の比較において大きな差異があるのは、「外部高校受験」と「難関大学合格実績」においてです。
2、外部高校受験の比較
一般的に中高一貫校では、外部の高校受験をする際に、一度退学し、他の中学校へ転校する必要があります。厳しい処置のようですが中高一貫校にとってはごく当然のことです。中高一貫校というのは、その名の通り中学高校をシームレスにつなぎ、中学校分野、高校分野といった垣根があいまいです。そのため、中学のうちから高校分野の内容を扱うこともあれば、中学校の範囲を後回しにすることもあります。中学の3年間で中学分野をマスターし、高校受験へ備えるといった想定が端からなされていません。
《志學館中の特徴》
志學館中の外部受験は、他の中高一貫校と同様で想定されません。外部の高校受験を希望する際には一度退学し、他校へ転校する必要があります。
志學館中等部・高等部においては、6年間の教育で難関大学を突破しようという中高一貫校の学習カリキュラムがあります。大学受験の合格実績も高く、医学部への志向が強い傾向です。
最大の特徴は上位層に占める女子生徒比率の高さでしょう。
これは鹿児島県中学入試における独特の現象です。鹿児島県の中学入試では、最難関のラ・サール中が中高一貫の男子校であるため、成績上位の女子生徒が受験することができません。ラ・サール中に匹敵する中高一貫で共学の中学校が、鹿児島県内にないため、上位層の女子生徒が同校を志望する傾向が高くなっています。鹿大附属中や玉龍中を志望する学生もいますが、鹿大附属中は中高一貫校ではないこと、玉龍中は公立の中高一貫校で進学実績の傾向が異なっていることから、志學館中は上位の女子生徒からの高い評価を確立しています。
《修学館中の特徴》
一方で、修学館中は、中高一貫校であるにも関わらず外部の高校受験に対し寛大な立場をとっています。
受験する際に、他校へ転校する必要はありません。外部受験に合格してもしなくても、希望すれば修学館高校に内部進学することができます。さらに、外部受験を希望する生徒に対し学習の支援も提供しています。
そもそも、修学館中学では、他の中高一貫校とは異なり、中学時代の学習カリキュラムが一般的な公立中学校に準拠しています。つまり、高校内容と中学内容を混ぜて学習が進むわけではないため、高校入試の際にも学校で扱っていないという状況が起こりにくく、カリキュラム上も外部受験に適しているといえます。(他の中高一貫校では公立の学校と進度が異なるため、受験する際には、初めから自分で学習しなければならない単元や分野が複数あります。)
そのため、学校内の上位生徒が軒並み高校受験で上位高校を目指します。高校受験の進学実績はとても高く、ラサール高校や鶴丸高校などに多数の進学者を輩出しています。結果的に、中学校から高校に入学する生徒が極端に少なくなる現象が起こります。高校入試ではそれを補うために、80名の募集があります。
3、修学館高校と志學館高等部の大学合格実績の比較 with鶴丸高校
まずは、修学館高校と志學館高等部の大学受験合格実績を比較します。
|
修学館高校(卒業生?名) |
志學館高等部(卒業生92名) |
国立大学医学部 |
0名 |
5名 |
難関国立大 |
0名 |
10名 |
難関私立大 |
1名 |
16名 |
私大医学部 |
0名 |
5名 |
難関国立大学は、東京大、京都大、大阪大、北海道大、東北大、名古屋大、九州大、一橋大、東工大、東京外大、神戸大
難関私立大学は、早稲田大、慶応大、上智大、ICU、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大、学習院大、東京理科大
二校を比較すると、志學館高等部の方が、難関大学の合格実績において圧倒的に上です。同校では、国立大学医学部の合格者数が5名(浪人生を含む)と、卒業生が92名であることを考えると鹿児島県内では非常に高い合格率といえます。
では、修学館中学より志學館中等部に進学する方がいいのかというと、そうとも言い切れません。修学館中学では成績上位生の多数が、外部の高校受験に挑戦しているからです。つまり、修学館中学で上位にいた学生が鶴丸高校やラサール高校に進学し、その学校の合格実績として計上されています。
志學館中や修学館中などの中学受験を考えるお子さんであれば、将来的に難関大学受験を目指す方が多いと思います。その際に、
「志學館中等部」 → 「志學館高等部」 の学生として受験をするのか、
「修学館中学」 → 「鶴丸高校やラサール高校」 の学生として受験するのかが、
修学館中と志學館中で迷っているご家庭に考慮してもらいたいポイントになります。
修学館中学と志學館中等部のどちらに進学するかを決める際には、修学館中であれば外部受験することを考慮し、進学先の候補となる鶴丸高校やラサール高校などの合格実績と、志學館高等部の合格実績の比較が非常に有益です。
実際に志學館高等部と鶴丸高校との合格実績を比較してみましょう。
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志學館高等部(卒業生92名) |
鶴丸高校(卒業生307名) |
国立大学医学部 |
5名 |
37名(現役14名) |
難関国立大+国立医学部 |
10名 |
128名(現役62名) |
関東難関私立大 |
16名 |
115名(現役16名) |
私大医学部 |
5名 |
不明 |
ここで、卒業者数の違いに注意しながら合格実績を確認してみると、国立大学医学部の合格者数はいい勝負です。一方で、難関国立大学の合格実績で比較してみると、やはり圧倒的に鶴丸高校の合格実績が高くなります。ラサール高校に関しては、医学部医学科の合格実績は全国1,2位を争い、2018年の東京大学合格者数は42名とさすがに県内の他校とは比較になりません。
ラサール高校を除けば、依然として鶴丸高校に進学し上位であることが鹿児島県においても難関大学合格への王道と言えそうです。
4、修学館中と志學館中の進路決定のポイント
修学館中と志學館中等部の進学を考える上で、いずれの高校から大学受験に挑戦したいかという視点が欠かせません。志學館高等部、修学館高校、鶴丸高校やラサール高校などがこの場合の有力候補になるでしょう。
もちろんラサール高校への合格はとても難しい関門です。軽い気持ちで目指せるものではないでしょう。それは鶴丸高校においても程度の差はあれ同様です。県内最高難易度(鹿児島県統一模試で偏差値68)の受験を突破する必要があります。
志學館高等部の合格実績が高いこともあり、中高一貫校の特徴をうまく利用して大学受験をすることも十分考えられます。その場合、高校受験を失敗するリスクがないことや、中学時代から大学受験を目指した対策ができるといったメリットがあります。
修学館中へ進学し、高校受験に挑戦することで、さらなる高みの高校から大学受験を目指すのか、志學館中等部へ進学し中高一貫校の特徴を最大限に活かし大学受験を目指すのか。
修学館高校、志學館高等部、鶴丸高校の大学受験から考えられてみてください。
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