前回記事の続編です!九州大学共創大学を具体的に受かりに行くために、数学・英語・小論文における傾向と対策をお伝えします(^^♪
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1、九州大学共創学部の数学は難しくない
九州大学共創学部の数学は、設問難易度的には難しくありません。同程度の偏差値の大学、例えば東北大学や名古屋大学と比べると、簡単であるとすら言えます。
具体的には、
「チャート式基礎からの数学(青チャート) 出版社:数研出版」
「NEW ACTION LEGEND数学―思考と戦略(ニューアクションレジェンド) 出版社:東京書籍」
「Focus Gold 数学(フォーカスゴールド) 出版社:新興出版社啓林館」
などの例題集に掲載されている重要例題+演習問題がすべて解けるようになっていれば、過去問演習をある程度積むだけで十分に合格点は取れます。
例えば、「一対一対応の数学」や、「文系数学の良問プラチカ」、「赤チャート」などの応用例題集や応用問題集は不要です。もちろんそのレベルまで演習できれば申し分ありませんが、そこまでの難易度の問題演習を積まずとも十分に対応できます。
つまり共創学部においては他学部と同様に、「難問が解ける数学力よりも、平均的な難易度の問題を取りこぼさない数学力」のほうがはるかに重要であるということです。日々の学習では復習や反復練習に重きを置くことが求められます。
これは鹿児島大学医学部の問題傾向に近いと言えます。東京大学の数学と反対の傾向です。東京大学や東京医科歯科大学、名古屋大学などは、かなりの難問が出題されます。数問だけ完答して後は部分点をかき集めるような受験が一般的です。
一方で九州大学は違います。基本的に完答を狙うことができます。難問が少ないため、取りこぼしが許されないという難しさがあります。同じ旧帝大であっても名古屋大学と九州大学では、偏差値レベルは同程度でも傾向と対策が大いに違います。
とはいえ、青チャートなどの例題をすべてマスターすることは実際には容易ではありません。
地方の偏差値60程度の公立進学校で、センター試験当日に重要例題の8割以上をマスターできている学生はおそらく1割程度なのではないでしょうか。少なくとも鹿児島県の公立進学校甲南高校や中央高校ではそうなっています。鶴丸高校でも怪しいです。
ですから問題の難易度は高くなくとも、九州大学が求める数学のレベルに到達することはやはり難しいと言えます。青チャートやニューアクションレジェンドなどの網羅性の高い例題問題集を徹底的にやりこみ基礎~重要問題を完全マスターする。加えて章末問題にチャレンジする余裕があればなお良し。九州大学のレベルであればこれが王道です。
2、九州大学共創学部の英語も難しくない。
九州大学の英語の特徴は何と言っても和訳と英訳問題の多さです。とにかく記述させる問題が多い。というよりほとんど記述問題です。このような受験問題を突破するために必要な学習レベルは以下の通りです。
【単語レベル】
「ターゲット1900」や「システム英単語」に掲載されているもので十分です。反復して確実に得点しましょう。
【文法・語法】
どこの大学を目指すうえでもですが、英文法・語法は「英文法」と「語法」に分けて考えるべきです。「英文法」はいわゆる理解を必要とする学習事項であり、「語法」はシステマチックに暗記した方が圧倒的に効率のよい学習事項です。別物だと思ってください。
≪英文法≫
英文法に関しては体系的な理解が必要です。例えば関係副詞と関係代名詞の違いや、副詞が修飾する品詞、形容詞の限定と叙述の用法、SVOOとSVOCの違いなど、この辺が分かっていなければ英文法を一から出直した方が良いと思われます。英文法は要領よく理解していけば10時間~せいぜい30時間程度しかかかりません。学校指定の教材や以下の参考教材などを利用して、まずは完全に理解しましょう。
参考教材
「成川の深めて解ける!英文法INPUT 著者:成川博康 出版:学研プラス」
「歌って覚える 英文法完全制覇 著者:泉忠司 出版:青春出版社」
≪語法≫
語法に関しては、1500~2000問ほど掲載されている「英文法・語法問題集」を用いて片っ端から解き→覚え→復習するサイクルをシンプルに繰り返すことをお勧めします。
簡単に言いましたが、実際にやってみると1500問分の知識量はとても多いです。語法に関する暗記事項だけで世界史と同程度の暗記量が必要であるかもしれません。計画的に暗記し、徹底した復習をすることが望まれます。
「Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の制服 出版:桐原書店」
「大学入試英語頻出問題総演習(即戦ゼミ) 出版:桐原書店」
「英文法・語法Vintage 出版:いいずな書店」
「POWER STAGE英文法・語法問題 出版:桐原書店」
【英文解釈】
英文法と並行して「英文解釈」=「文法的に和訳する訓練」も必要です。上記の通り、九州大学の二次試験ではほとんどが記述問題です。ここでのポイントは、単語の意味だけをたどりフィーリングを掴むだけでなく、一文一文を正確に精読をすることです。受験の現場では、意味があっていても文法上正しくない和訳は減点されますし、複雑な文章ではミスリードの主因でもあります。じっくり解き進めましょう。
参考教材
「英文解釈の技術70 著者:桑原信淑 出版社:桐原書店」
「英文解釈の技術100 著者:桑原信淑 出版社:桐原書店」
「ポレポレ英文読解プロセス50 著者:西きょうじ 出版社:代々木ライブラリー」
「英文解釈ナビ 著者:清水健二 出版社:日栄社」
「英文読解の透視図 著者:篠田重晃 出版社:研究社」
【長文読解】
まとまった文量の英文読解も必須です。英文を文法的に解釈し日本語に変換して読む能力と、英語を言語野で処理し言語として解釈していく能力は別物と言えます。丁寧に読み込み、英語のテキスト原文の読み込みや音読などで英文を頭に刷り込んでいきましょう。
参考教材
「やっておきたい英語長文500 出版社:河合出版」
「やっておきたい英語長文700 出版社:河合出版」
「九大の英語15カ年 著者:伊神尚紀 出版社:教学社」
【英作文】
英作文はハードルが高いですが、まずは基本例文や表現を覚えることから始めましょう。後は実際に書き続けるしかありません。一朝一夕で習得できるわけではありので、信頼できる先生や講師に積極的に添削を頼みましょう。
参考教材
「[必修編]英作文のトレーニング 出版社:Z会」
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本 著者:竹岡広信 出版社:KADOKAWA/中経出版」
3、九州大学共創学部の小論文は洒落にならないほど難しい
「小論文は点数差つかないからそれほど気にしなくて良いよ」。一般的に正しい意見です。実際に医学部受験の小論文などではそれほど気にしなくて良いです。
ただ、九州大学共創学部の受験において「小論文は気にしなくて良い」って言われたら、その先生の下からさった方が良いす。自分自身で解いたことがない可能性が高い。
≪試験内容≫
「人類が直面する諸問題に関する文章や資料(図表、写真など)を用いて出題し、読解力と、問題を理論的に分析して自らの解決法を適切に表現する力を総合的に評価する。」
(2019年年度募集要項より抜粋)
・配点300点(センター試験国語の3倍の配点)
・解答時間180分(3時間)
・設問数2題(問が各2問ずつ、計4問)
共創学部が設立してから2年間、実際にこの試験内容の通りの出題となっています。「人類が直面する諸問題に関する文章や資料(図表、写真など)が複合した問題が出題され、読解し分析したものに、自らの意見や解決案を表現する能力」が問われます。募集要項のまんまです。
具体的には文系的テーマと理系的テーマの2つの課題が提示され、それぞれに2問ずつの設問が準備されています。
例えば2019年度の小論文からの引用。
[設問1](文系的テーマ)
「食品ロス」に関する設問
問1 この3つの資料から読み取れる事項をあなたの言葉でまとめなさい。(50点)
問2 問1でまとめた事項をベースに食品ロス問題を包括的にとらえた上で、「食品ロスを減らすための”あなた独自のイノベーティブな解決策”」を考案し、述べなさい。(100点)
[設問2](理系的テーマ)
気候変動に関する政府間パネルの評価報告に関する課題文や、環境省などがまとめた地球温暖化の影響と各地域で発生している現象に関する設問。
問1 資料1~4で示された内容を比較し、論理的に説明できる内容及び説明できない(あるいは矛盾する)内容をなるべく多く挙げ、気候変動について論じなさい。(100点)
問2 資料5~7に関連づけて、ツバルの首都でどのような現象が進んでいるのか、年代順に根拠を示しながら説明しなさい。ただし、図示したすべての年代を取り上げなくてもよい。また、資料5の写真に写った建物の立地とその背後にあるだろう環境変化について、あなたの見解を述べなさい。(50点)
(九州大学共創学部2019年度入試 小論文から一部を抜粋し引用)
これは2019年度の共創学部でだされて設問のほんの一部を抜粋したものです。
実際の受験問題は、これにかなりの分量の問題文と、課題文、フルカラーの図やグラフが資料として各設問ごとに5~7枚ほど組み込まれています。
特徴は以下の3つ。
1、視覚情報の多さ
図や写真、グラフが多用されており、ノンバーバルな情報処理も求められます。フルカラーですからね…。
2、内容の独自性
一見標準的なテーマに見えても、資料のコンテンツが工夫されていたり解答を作りにくい設問になっていいたりします。一方で、そもそも学生の知見が及んでいないテーマが出題されていたりと思考力が問われます。ディープラーニングとマシーンラーニングの違い、分かりますか?
3、180分(3時間)の時間設定
長いと感じますか?実はかなり短いです。対策なしで共創学部の小論文に挑んだ場合、課題文の分析だけで3時間かかってしまう可能性すらあります。東大数学や東大英語と同様な、高いタイムプレッシャーがかけられています。
もう簡単に言えば、「難しい」のです!
設問と課題文の読解、資料の分析、解決案を創造、文章による表現。この4つのプロセスが高度なレベルで必要となっています。
共創学部のポリシーは、「知識を問う入試から、能力を見極める入試への」へのシフトなのです。
多様な人々との協同から異なる観点や学問的な知見の融合を図り、共に構想し、連携して新たなものを創造する「共創」をコンセプトとして、新たなイノベーションの創出を担う人材の育成に取り組んできます。
(九州大学共創学部HPより抜粋)
小論文で問われているものも、ここから演繹されたものと言えます。
一般入試でも「志望理由書」を書かせ、AO入試で20名、推薦入試で10名、国際型入試で10名と、一般入試65名に対し、面接・小論型の受験でも40名の募集がされているのが共創学部の受験です。
共創学部の小論文は、共創学部が力を入れて作成し、点数差がしっかりつく内容になっていることが容易に想像できます。
4、所感です!
今年度、鶴丸高校から九州大学共創学部へ現役合格できた学生は5名中、ロググラムの女子生徒1名のみだったようです。適切な対策をとれなければ難しい受験です。
共創学部を受けようと思ったら、共創学部を受かりにいくための学習内容にシフトしないことには、まあ歯が立ちません。
共創学部入試は、英語・数学偏重の従来性と、新時代の感覚が複合されたハイブリッドな一般入試であると感じます。
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