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「鶴丸高校で下位でいるより甲南高校で上位を目指す方が良い」は本当か?  

鹿児島県公立高校入試において、最難関の鶴丸高校と、それに次ぐ甲南高校。

受験が近づいてくると毎年尋ねられる相談があります。

 

「学校で三者面談があり鶴丸高校の受験を止められました。『今のままの成績では鶴丸高校に何とか合格できたとしても高校で苦労します。だったら甲南高校に進学して上位にいる方が良いのではないですか?』と担任の先生に言われてしまいました…。確かにそのような気もします。久保先生はどうお考えですか?」

これは、毎年恒例のそれらしいアドバイスを受けてしまって、迷ってしまったパターンです。 

久方ぶりに久保が語ります

 

 

 

 

【甲南高校の上位層とは何なのか?】

いきなり核心をついて申し訳ないのですが、そもそも鶴丸高校で下位にいる想定なのに、甲南高校では上位にいられると思ってる点が絶望的に浅はかです。甲南高校をあなどりすぎてます。

 

甲南高校で上位にいる学生は、鶴丸高校でも上位に食い込みます。

鶴丸高校で下位の学生は、甲南高校でも下位です。

 

「偏差値を2下げた高校に進学すれば上位にいられると、いつから錯覚していた?」と藍染惣右介になった気分です。

 

 

ですから、

『今のままの成績では鶴丸高校に何とか合格できたとしても高校で苦労します。だったら甲南高校に進学して上位にいる方が良いのではないですか?」の命題は、

「鶴丸高校で苦労する(下位で停滞する)」と「甲南高校に進学して上位にいる」というパラドックスを抱えており、命題が成立していません。

 

※(便宜上、上位生、下位生という表現を頻発していますが、下位生という言葉の印象から受ける「劣等のニュアンス」は私の意図するところではありません。一次的な学力順位において、相対的に低い結果が出ているというだけの意味です。学力分布はめまぐるしく変動するものです。今日の下位生は3か月後の上位生であることは珍しくもなんともありません。頑張れば全然大丈夫です。)

 

鹿児島県内の公立高校の中で、最も上位と下位のばらつきが大きい学校が鶴丸高校です。次いでばらつきが大きい学校は甲南高校でしょう。両校の上位層は九州大学以上の大学に現役で合格できる水準(進研模試における偏差値は65以上)がありますが、低迷している層は他の高校と同様にどこまでも低迷しています。それはどこの学校も同じで、たとえラサールだろうが、久留米大附設であろうが、全国平均を大きく下回る学生は一定数います。

 

 

鶴丸高校であっても一定の割合は全国平均を大きく下回りますし、甲南高校であっても一定の割合は下回ります。その割合の差が多少あるだけで、どちらの学校でも下回る層は下回ります。私の高校生時代にも全国平均から-150点ぐらいの学生はいました。私のことです。

 

鶴丸高校と甲南高校の差が顕著に表れるのは進研模試で偏差値70を超えるような上位層の割合においてです。受験生全体の分母上位2%未満に入る学生の割合は、この2校間においてはっきりとした開きがあります。例えば、鶴丸高校の上位25%がそうであるのに対して、甲南高校であれば上位10%である、といった具合です。(これにデータ上のエビデンスがあるわけではなく私の体感です。)

 

2校の成績を図示かするとこんな感じになると思います。

(注:これは私の主観に基づいたイメージでデータ上のエビデンスはありません。)

 

上図のように、甲南高校の上位生は鶴丸高校においても上位生ですし、鶴丸高校の下位生は甲南高校においても下位生です。割合が大きいか小さいかだけの違いしかありません。

 

 

 

 

【今の学力と高校の学力は関係ない】

もう一つの大きな問題は、高校に進学してもいない段階で、鶴丸高校では上位に食い込めないと自分の限界を勝手に想定してしまっている点です。

 

 

それは誠なのか?

 

 

なぜ、自分は鶴丸高校では上位に行けないと思うのでしょうか?現在の自分の成績から帰納した判断なのでしょうか?それとも、目上の人から言われたからなのでしょうか?

 

 

謎は深まるばかりです。

 

 

これからの高校での成績に関して、それらのいずれもが関係ありません。そもそも塾の先生や学校の先生に、高校に入ってからの将来の成績の伸び率を判断することなどできるはずがありません。将来の自分の成績は全くの不確実なもので、過去からの因果など全く関係ありません。

 

高校に入学してから適切な学習を必要なだけこなせば、いくらでも学力は伸びますし、かつての神童が嘘みたいに低迷することもあるのが、世の常です。

 

ただかなりの可能性を持って言えることは、意識的にせよ無意識的にせよ自分が想定できた学力までしか伸びないということです。せいぜい偏差値60までしか取れないだろうと想定している学生は偏差値60程度までしか、せいぜい偏差値70だろうと想定している学生は偏差値70程度までしか、到達できないようになっているところが面白いです。

 

ですから、進学を決める段階で、鶴丸高校ではついていけないと判断してしまった学生は、その程度の学力しかつけられない可能性は高いと思います。上記で何度も繰り返しているとおり、その学力対は甲南高校内においても決して高いところではありません。

 

 

 

 

【結局、私は鶴丸高校か甲南高校のどちらを受験すべきなの?】


受験校を決定する際に、自分の合格できる高校に出願することはもちろん大切なことです。そもそも不合格になってしまっては入学できないからです。(当然のことを言ってしまいました)。ですが、それは高校入学後の自分の成績とは全く関係のないものです。自分の今の学力において鶴丸高校に受からないのであれば、甲南高校にランクを下げて受験することも戦略的に優れた判断です。ですが、今現在鶴丸高校に及ばなくても、1、2年後は鶴丸高校の上位層に匹敵する学力が自分にある可能性は全くもってあり得ます。甲南高校を受験するのであれば、そういったマインドで甲南高校を受験すべきでしょう。

『今のままの成績では鶴丸高校に何とか合格できたとしても高校で苦労します。だったら甲南高校に進学して上位にいる方が良いのではないですか?」という命題に対する私の見解は、「命題に矛盾があり成立していません。」であり、付け加えるアドバイスとしては「鶴丸高校に受かる勝算があり、不合格のリスクを許容できるのであれば、鶴丸高校への受験をお勧めします。不合格のリスクが許容できないほど大きく感じるなら甲南高校への受験をお勧めします。ですが、それは高校入学後の自分の学力とは一切関係のないことです。鶴丸高校に入学してからぐんぐん学力を上げてトップ10に入り国立医学部や東京大学に現役で合格する可能性もありますし、甲南高校で1位になってそうなる可能背もあります。それは、高校に入ってからの自分の問題です。

 

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